潜水

 小木港付近にダイビングができるスポットがある。僕たちはそこで初めてのダイビングを行うことになった。

 僕はダイビングを舐め腐っていた。海と言えども酸素があるんだからヨユーヨユーという態度である。

 簡単なダイビングの説明を受けて、すぐにスーツ・器具の装着をして海に中へ。レギュレーターという器具から酸素を吸引するのだが、これが思うようにいかない。おもったように酸素が吸えず地上でやっても苦しく、この状態で海の中に入ったらと想像するだけで怖くなった。指導者からは異変があったらすぐに伝えるようにと言われたが、日頃から音声のコミュニケーションしかしていない人間がハンドサインやホディランゲージで、しかもそれを海の中でやれと言われても「ほんとにちゃんと伝わるのだろうか?」と不安で恐怖感を増大した。

 海での簡易な練習が終わり、潜水していく。時化の影響で海が少し濁っており、さらに眼鏡を外しているため視界が悪い。レギュレーターでの呼吸にはしだいに慣れてきたが体の自由がきかないことで恐怖感が拭えない。

 水圧と内圧を一定に保たないと頭が痛みだすので耳抜きをする必要がある。ダイビングのための必須技術だが、耳抜きが上手くできない。この状態でさらに潜っていくのは無理だ。痛みが抜けない、体の自由がきかない、周りが暗い。この膨大な海で一人ぼっちになったらと恐怖感が増していき途中でリタイヤした。

 

 ダイビング一見楽しそうだけど、僕には無理でした。