俺の席

席確保に関するお話

 その店はカウンターと座敷のスペースがあり、一人で来店したためカウンター席に座らざるを得なかった。カウター席に座っている客は、客同士が隣り合わないように席をひとつ飛ばしで皆が座っている。同然のように俺もそのように座る。

喉がカラカラに渇いていた。水はセルフサービスだったので席を立つ。戻ってくると、しらない客が俺の座っていた席に座っている。

  臆病な俺は「すみません。そこ俺の席です。」とは言えず、別の座席に移動することにした。俺も、席にモノを何か置いておけば良かったのたが、財布とケータイしか持参しておらず、貴重品を座席確保のために置くのは気が引けた。

 別の席に座ろうにも、隣り合わずの座り方もできず、さらに店員が俺の注文した品物を俺が元いた場所に置こうとしているのが目で見えたので、反射的に店員に気を使って、元いた席の隣に座る。

  すると、おれの席を奪った奴が不快そうに俺を一瞥する。

  いやいや、お前が俺の座っていた席を奪わなければこんな自体にならなかったわけで、なんで被害者ぶってんだよ。お前以外の客は、俺が先に座っていたことは知ってんだからな。お前が加害者で俺が被害者なんだよ!と怒りがふつふつと沸いてきた。沸いてきたが、もちろん口にも態度にもだしてないけれども。

 

というハナシ